函館市北洋資料館|缶詰と船と街の記憶

五稜郭タワーからすぐの案内看板

「ここに行きたい!」と思った理由

「函館 資料館」で検索していて、たまたま見かけたホッキョクグマの画像が気になって。

観光で訪れていた五稜郭から歩いてすぐの場所だったこともあって、次の予定までのあいだに寄ってみることにしたのが、北洋資料館を訪れるきっかけでした。

入り口で出迎えてくれるホッキョクグマ

目を奪われた展示と体験

券売機で買った入場券を受付で渡すと、目の前にはネットで見ていたホッキョクグマが。

こんなに大きいんだなあと驚いていると、ホッキョクグマの天敵はシャチだという『なるほど!北洋資料館』のポップも目に留まりました。

豆知識のポップがうれしい!

奥に進むと、自分の身長よりも大きいトドの剥製が。

前後どちらからも見られる剥製はなかなか珍しく、その迫力に圧倒されました。

日魯漁業株式会社(現在のマルハニチロ)の前身、堤家ののれんをイメージした三本線が特徴の缶詰ラベルコレクション。

国内向けだけでなく、海外向けに外国語表記のラベルも多く、時代と共に缶詰の出荷も変化していったことを感じます。

トドの名前はアイヌ語由来?
缶詰ラベルのコレクション多数

さらに奥に進むと、縄文時代の漁の方法や先住民族による漁の様子を伝える資料も並んでいました。

海獣の剥製や、当時の漁村の親方が使っていたアザラシ皮のバッグなどの嗜好品まで展示されています。

缶詰にされていたサケやマス、カニの生態や種類にも触れながら、当時使われていた漁業道具や、蟹工船の模型なども見ることができます。

アザラシ皮やラッコ皮が人気だったのだとか

そんな展示を見ていると、「よかったら乗ってみませんか?」と声をかけていただき、北洋漁業体験室へ案内されました。

中には舵が設置され、船内の雰囲気を感じられる空間。

ボタンを押すと室内が暗くなり、映像とナレーションが始まります。

目指すのは、陸地から遠く離れたオホーツク海やベーリング海。映し出されるのは、荒波の中を進む船からの景色です。

そして何より驚いたのが、想像以上に船が前後に揺れること。

つい映像に集中してしまい、立っているのが少し心もとないほどでした。

ここから見る3分間の北洋漁業体験

また訪れて知った新しい話

再訪した日は、最初の訪問で見きれなかった展示をじっくり見てみたくて向かいました。

缶詰ラベルのコレクションを見ていたら、警備員のような服装のスタッフさんが話しかけてくれました。

このラベルの3本線は堤家ののれんにちなんでいること、国内向けだけでなく、軍事や海外輸出向けの需要もあって、外国語の表記も多かったこと。

「当時は輸出用に英語やイラストでわかりやすく書いていたんですよ」と教えてもらい、なるほど…と見ていたラベルに深みが増しました。

その時に、「今日は先生も来るかもしれないから、来たらお話聞いてみたらいいですよ」と教えていただいていて、再び展示に目を戻しました。

しっかり説明もされている展示室内

しばらく展示を見ながら歩いていたら、「もしよかったら展示のご案内しましょうか?」と、先生と呼ばれていた方に声をかけていただきました。

そこから話は、マルハニチロの前身・堤商会のこと、函館の港や商業・開拓に関わった人たち、陸路より海路の方が遠く行けた時代の薩摩や富山などの国内・海外とのつながり、そして遠くの漁場で水揚げから加工までを行うために必要だった“缶詰加工船”の存在へ。

遠洋漁業が拡大していった背景、缶詰が果たした役割、そして新しい漁場の開拓にともなって街がどう変わっていったのか。

まるで講義をきいているかのように質問はないですか?と丁寧に話してくれる姿に

あの展示も、あの写真も、この模型も、単なる資料じゃなくて、あの時代に生きた人たちの選択と挑戦の跡だったんだなと思いました。

蟹工船のモデルになった洋光丸の模型

私が感じたこと、あなたに伝えたいこと

もし、五稜郭のついでにもう一か所どこか寄ってみようかなと思ったら、ぜひ立ち寄ってみてほしいです。

わたしはこの資料館で、缶詰のラベルから漁業の歴史、町の風景、そしてそこで暮らす人の営みまでが一本の線でつながっていくのを感じました。

しかもワンコインで。

見るもの、聞くこと、考えることがじわじわ重なっていって、気づけば展示の前でずっと足が止まっていました。

あの時感じた“知る前には想像できなかった時間”は、たぶんいまもじんわり残っています。

もしかしたら、あなたにも思いがけない「見たい景色」が見えてくるかもしれない。

そして北の海の3分間も是非、体験してみてください。

展示の最後には缶詰タワー

函館市北洋資料館|基本情報

住所:

函館市五稜郭町37-8

(五稜郭タワーのすぐ近く)

アクセス:

◯路線バス
「五稜郭病院前」下車 徒歩3分
◯市営電車
「五稜郭公園前」下車 徒歩10分
◯タクシー
JR函館駅より約15分

開館時間:

9:00〜19:00(4〜10月)

9:00〜17:00(11〜3月)

休館日:

年末年始(12月31日〜1月3日)

他、器材点検休館日あり

入館料:

大人100円

(※「はこだて旅するパスポート」提示で80円)

公式サイト:

https://www.zaidan-hakodate.com/gjh/hokuyo/

函館市北洋資料館、入口にて

最後まで読んでくれてありがとうございます。

旅の記録があなたのヒントになれば嬉しいです。

またどこかで小さな発見を。